ふたつおいかけむかで

家紋帳は不思議な書物だ。
実にさまざまなモチーフが「いろは」順に並んでいる。
何気ない顔をしていても、どこかに謎が埋め込まれているような気がする。
百足。なんでまたこんなものまで、家紋にしたのかな。

「ふたつおいかけむかで」を切り紙する。
たくさんの足を切るのになかばウンザリしながらも、だんだんと無心になる。
ふ〜。やっとできた。
絡み合う百足を見ながら、ちょっと腑に落ちる。

ふたつの力が拮抗し合い、相争う姿。温と冷。陰と陽。
天地の理を理解しようとする時、人々は目の前にいる生き物たちの姿から想像力を膨らませたのだろう。
百足の姿にも天地の姿が見える。

熱い空気と冷たい空気が争う前線が停滞することで災害が頻発している。
そこにも大百足の姿が見える。

しもなかなぼ