【ワークショップご報告】ひもをなう、こよる ― 手仕事を身体に取り戻す 港区・令和アカデミー倶楽部新橋校

2024年3月2日(土) に、東京・令和アカデミー倶楽部新橋校で開催された、「ひも」のワークショップの様子をご報告申し上げます。

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新橋の駅からほど近い「令和アカデミー倶楽部」でのWSです。

こよりを縒る。これは、少し前の日本人のほとんどができた小さな手仕事。
いつの間にかこよりそのものを見ることも稀になり、
その技も忘れられてしまっています。

そもそも、私がこよりにハマったのは、かつて、もんきりWSで出会った80代のご婦人から聞いたこんな話がきっかけ。
「昔はね、会社に勤めた新人の仕事といったら、たくさんのこよりを作って、
机の上にいっぱい立てることだったのよ」
その一言が忘れられずに、「こよりが作れるおばあちゃん。かっこいいなあ」と猛特訓をし、
今では、ピンとしたこよりが作れるようになりました。

この快感を広めたいなあと思ってwsを始めたものの、習得に至る前に諦めてしまう人が多く、、、
右手と左手を同時に動かすのがむづかしいのか、どうやら「こよりの壁」があるらしい。
さて、どうしたら楽しくこの壁を越えられるか。
そのための実験をあれこれ仕込んでの今回のWS。

めざせ、ピンと立つ 美しいこより!

「こより」のさまざまな呼び名。

なぜ、かつての日本人はこよりが縒れたか?
それは、暮らしに欠かせない実用品だったから?

こよりの用途を考えてみた。

やっぱり、暮らしの中で必需品だったからこそ、みんなができたんだなあ。
参加者の皆さんからも、「こよりの記憶」を聞き出してみました。
「小学生の頃、お父さんが上手にできたのに、できなくて悔しかった思いがまだ残っている」
「日舞の「手習子」の踊りの中で、恋占いにこよりを使う場面がある」
「キセルの掃除をしていたような、、、」
「和服の値札はこよりだった」などなど。

さて、いよいよ、実習。

ともかくたくさん作ってみて、コツを会得するのが肝心。
最初の作から順番に並べてみれば、すぐにピントしたこよりができなくても、
じわじわと成長しているのを感じられるので、オススメ。
あきらめずにやってみること。

何か使ってみたい。
使いたいという思いがあれば、やる気もアップ!

「横帳」をこよりで綴じてみる。
ピンとしているから、穴を通しやすいし、
結び目をコンコンと潰せば、しっかりほどけない。
これは紙だからこその特徴。

いろんなキレイな和紙や新聞紙でもやってみる。
きっと、自分の手にあった紙がある。

最後に、、、今回のワークショップの目玉。古物商さんから、紙縒玉を手に入れました。
白黒マダラなのは、墨で何かを書いた和紙の反故紙を使っているからでしょう。
この繊細さ!繋ぎ目の巧みさ。(「機結び(はたむすび)」というのだそうです)
なんのために作ったのか?たぶん紙布を折るための手仕事だと思われます。

すごいな〜。美しいな〜。憧れの手仕事。
ピンとしたこよりは、その第一歩ですね。

楽しくおしゃべりしながらの手仕事。
こよりwsの可能性を感じる2時間でした。

終わったあと、講座の担当者、東郷さんからのメール。

色々色々、子どもの頃に見たこと、やったことが無くなってしまいましたが、
時々思い出してひとりででもやってみて身体に思い出させる(自分の中での継承)のが大切なのかな…
と思いながら、急にいなり寿司を作りたくなり、お揚げさんをお箸でゴロゴロしていなり寿司を作りました。

そうですね!「身体に思い出させる」。
「しりとり」みたいにいろんなこと思い出して、やってみたくなる。
こんなふうに人々の記憶に、さざなみを立てるワークショップをしていきたいなあと、
改めて感じました。ありがとうございます。

一部の写真を令和アカデミー俱楽部 仲田敬子さんに提供していただきました。ありがとうございます。