
三重県紀宝町立図書館のワークショップを終え、以前から気になっていた花の巌神社を訪ねる。
こんもりと暗い椿と楠の森を抜ける参道の奥に開けた空間。そこには巨大な巌。そして、その上から張り巡らされた縄から下げられた幡が、青空に不思議な図形を描く。2月と10月の種まきと刈り入れの時期にこの縄は架け替えられ、そこには生の花が捧げらる。巌の先は熊野灘が広がり森の中にいてもその気配が濃厚。
風、海、木、草、火、土、水の神を表す7本の縄を撚り合わせること。
3つの幡が月、日、地上界の三神を表すこと。
天まで届く柱を立て、その周りを回ることで国を産んだこと。
神話物語を繰り返し演じることで、生命力の根源に近づき、そこから力を得ようとしてきたのか。
それが、ここで静かに延々と繰り返されてきた。
そこに「花」が添えられることの意味を改めて考える。
もうすぐ「天道花」の季節。
これもささやかではあるけれど、私の日常が神話の世界と繋がるための行事。



