さくらの開花にソワソワしつつ、ふと足元を見てみると、エクスプランテの入り口に菫(すみれ)がかわいらしい小さな蕾をよっこらしょと持ち上げていました。
すっと細い茎が美しいすみれの花。日本の春に彩りをそえる、とても身近な植物です。
春を喜ぶようなその可憐な姿は、古くから歌の中でも楽しまれていたようです。
すみれの花を愛おしんでいた昔の人々の様子が目に浮かぶような、すみれの紋も残っています。
小社刊『紙あそび歳時記 咲く』にも収録されています1ツ折りの「抱き菫(だき すみれ)」。
表紙にも登場するこの紋は、まだ春先の冷たい風から花をそっと守るように伸びた葉の間に、光琳風にニコリとほほ笑んだような菫の花が咲き、その花の上には次に咲こうと準備している小さな蕾も覗いています。
ガジェットブックス シリーズかたち『紋切り型mini 紙あそび歳時記 咲く
紙あそび歳時記tumblrでは、『咲く』キットで作れる「抱き菫」の紋切りの花のカードの作例も数種類ご紹介しています。
たった一枚の切り紙。そのかたちを見ていると、実にたくさんのデザインの可能性が広がってゆくのが、紋切り型の楽しみの一つですね。
「抱き菫」はこのほか紋切り型『いろはに もんきりがた』にも収録されています。
また、『紋切り型 天の巻』には同じく1ツ折りの「一ツ菫(ひとつ すみれ)」、また、『紋切り型 花之巻』には、桜の紋だけでなく三ツ折りの「三ツ葉すみれ」も掲載しています。
万華鏡をのぞくように展開していく、かわいくて、時にユーモラスなスミレのかたち。お手元に小社紋切り型の本をお持ちの方は、どうぞこの機会にページを開いて、紋切り散歩をお楽しみください。
ガジェットブックス シリーズかたち 紋切り型 『いろはに もんきりあそび』
「抱き菫」掲載
ガジェットブックス シリーズかたち『紋切り型 天の巻』
「一ツ菫」掲載
ガジェットブックス シリーズかたち『紋切り型 花之巻』
「三ツ葉すみれ」掲載
すみれという、足元に咲く小さな春。
その姿を文様やデザインとして暮らしの中で楽しんできた人々のやさしい眼差しに、何かと忙しい春の日々を過ごしながら、なんだか心がふわりと豊かにふくらむような気がします。