季節はめぐる。

季節はめぐる。
深い雪もやがてはとける。
月が満ちては欠け、
花が咲いては散る。
すべてはとどまることなく流れる。
それが生きているということ。
めぐる季節の「兆し」や「名残り」に、
耳を澄まし、目をこらす。
雪月花が「移り変わる」気配を
からだぜんたいで感じとる。
そうやって人は自然に
寄りそうように生きてきたのです。
文様はそんな人と自然のいとなみを
映してきました。
そのひとつひとつに豊かな物語が
つまっています。
文様は遠い祖先からの手紙。
私たちもそっと誰かに手渡したい。

下中菜穂 著「こども文様ずかん」(平凡社刊)より