*2017年の読み物です
今年も半年が過ぎ、もうすぐ7月。
小社新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』も、おかげさまでいよいよ出版の運びとなりました。
そこでこれを記念して、もうすぐやってくる七夕にぴったりな紋切りあそびをご紹介したいと思います。
毎年お家で七夕飾りを準備されている方は、いつもの笹飾りに紋切りをちょっと加えてみたり、
笹も手に入らないしあまり行事の準備はしない、という方も、今年は七夕にかかわりの深い日本のかたちを選んで紋切りで切ってそっと部屋に飾って、気軽に七夕を楽しんでみませんか。
まずは昔の人々がどんな風に七夕を過ごしていたのか、江戸の人々の暮らしが描かれた浮世絵の世界を覗いてみましょう。
礒田 湖龍斎(いそだ こりゅうさい)の 『今様五節句戯七夕』(1773頃) には、江戸時代に人々が七夕祭りの準備をする様子が描かれています。
うちわで涼みながら鮮やかな色紙の束とにぎりばさみを持ち、真剣な眼差しで紙を切って、七夕の紙飾りを作っている女性たち。
間違えないようにと注意しながら切っている手元に集中している様子は、見ているこちらもぐっと画面に惹きつけられ、なんとも艶やかで楽しげでもあります。
蝶と菖蒲の柄の着物をまとった2人の足元に落ちているのは、色とりどりの紙のキレハシ。左手の畳の上には切り終えたひょうたんも見えますね。
その昔、七夕には習字や裁縫、技芸の上達を願って、筆や短冊、着物や五色の糸と針、楽器、また田畑や漁の収穫物なども飾られたそうです。(七夕については、夏に向う季節にぴったりの小社紋切り型の本『紋切り型 風之巻』でもお読みいただけます)
それでは私たちも、七夕飾りにぴったりの伝統的なかたちを切ってみましょう。
大人も子供も、立派な笹がなくても楽しめる、気軽な切り紙、紋切りあそびです。
七夕のもんきりあそび その1
七夕にちなんだ日本のかたちを切る
用意するものは
・紋切りを切るためのはさみや、カッターとカッティングマット
・型紙をとめるホチキス(クリップや、”貼って剥がせる糊”でも)
・七夕にちなんだお好きなかたちの紋切り型や切り紙の、型紙と和紙折り紙。
7月新刊の『紙あそび歳時記 日本の行事』など、エクスプランテの紋切り型の書籍には、紋切り型や切り紙の型紙と、和紙折り紙がセットになっていますので、すぐにお作りいただけます。
七夕にぴったりの紋切り型もいろいろありますが、まずはいくつかおすすめのものをご紹介してみます。
七夕といえば、空の星。
三ツ星はオリオン座のベルト、七ツ星は北斗七星・・・
繋ぎ三ツ星(つなぎ みつぼし)
新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』より
陰陽七ツ星(いんよう ななつぼし)
新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』より
石持陰七ツ星(こくもち かげ ななつぼし)
『紋切り型 豆紋2』より
七夕に梶(かじ)の葉に筆で書を書いたとか・・・
梶の葉(かじのは)
新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』より
尻合せ三ツ梶の葉(しりあわせ みつ かじのは)
『紋切り型 風之巻』より
風にそよぐ笹の葉を紋切りで・・・
三枚笹(さんまい ざさ)
新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』より
六枚笹(ろくまい ざさ)
『紋切り型 豆紋』より
九枚笹(くまい ざさ)
『紋切り型 めでたづくし』より
おめでたいかたち・・・
双瓢(ふたつひさご)
『いろはに もんきりあそび』より
三ツ重ね盃(みつ かさね さかずき)
『紋切り型 豆紋』より
島原扇(しまばら おうぎ)
『紋切り型 豆紋』より
舟や漁に関するもの・・・
中輪に二ツ網干(ちゅうわに ふたつあぼし)
『紋切り型 ものづくし』より
三ツ網目(みつ あみめ)
『紋切り型 豆紋』より
網目(あみめ)
『新版 文様切り型』より
美しい音の琴の弦を支える「琴柱(ことじ)」の紋・・・
四ツ組琴柱(よつぐみ ことじ)
『紋切り型 地の巻』より
織姫の織機や、縫い物に関するもの・・・
三ツ寄せ滕(みつ よせ ちぎり)
『紋切り型 天の巻』より
糸輪にかけ重ね糸巻き(いとわに かけかさね いとまき)
『紋切り型 地の巻』より
・・・などなど。
迷ってしまうほどたくさんご紹介してしまいましたが、まだまだ他にもあります。
小社書籍をすでにお持ちの方は、ぜひお手元の本を開いて、七夕に切ってみたいかたちを選んでみてください。
さぁ、お好きなかたちを見つけたら、紋切りあそびをはじめましょう。
紋切りの作り方
和紙折り紙を折り、紋切り型の型紙を後で剥がせるように、クリップや貼って剥がせる糊をつかって和紙折り紙の上につけます。余白の部分を数か所ホチキスでとめても。
型紙にそって和紙折り紙を切ります。
そっと開けば、伝統的な日本のかたちの切り紙ができあがります。
切った紋切りは、テーブルの上にそっと置いたり、糸をつけて窓辺に下げてみましょう。
立派な笹がなくても、気軽に楽しめます。
もちろん糸をつけた紋切りはそのまま短冊と一緒に笹に飾ってもすてきですし、紋切りを和紙折り紙ではなく懐紙で切れば、お茶菓子を出す時や、食卓でも季節をたのしめますよ。
ご家族やお友達と一緒に、かたちの背景や伝わってきたストーリーなどを語らいながら、
お好きなかたちで、気軽に七夕を楽しみましょう!
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今年の七夕に向けてもっといろいろ作ってみたくなった方は、次回公開の吹き流しをもんきりでアレンジするアイデア「七夕のもんきりあそび その2 吹き流しに紋切りを合わせて」もぜひご覧ください。
七夕の願いが、空に届きますように。
2017年7月新刊『紙あそび歳時記 日本の行事』は、この週末に全国の書店やショップに向います。
エクスプランテのネットショップでも、本日より販売スタートいたします!
七夕以外にも、お正月、節分、ひな祭り、端午の節句、お盆にお月見、重陽、七五三、冬至など、季節の10の行事を紋切りあそびで気軽に楽しめる、25種の型紙と15枚の和紙折り紙が入った薄型クラフトキットです。
皆さまぜひ、ごらんください。