折りたたんだ紙を型紙どおりに切り抜き、
そっと開くと、手の中から思いがけない美しい
「日本の形」が生まれます。
これが「もんきりあそび」、そしてその型紙が「紋切り型」です。
江戸の職人が紋を描くための指南書や、
寺子屋の教科書に紹介されていました。
昭和の初め頃までは図工の教科書にも載っていたのに、
すっかり忘れられ、
「紋切り型」という言葉も、今ではすっかり
「決まりきったつまらないもの」
という、否定的な意味で使われるようになってしまいました。
「家紋」は、平安時代に始まり貴族や武士によって
使い継がれてきましたが、
江戸時代になると、庶民も使うようになり、
たくさんの粋でユーモラスな紋が作られました。
今でも着物や提灯などに
紋を描く職人さんが使う「紋帳」には、
植物や動物、暮らしの道具、
月や星、雷や霞…などが
ずらりと並んでいます。まるで博物図鑑!
そのひとつひとつに
意味や物語がいっぱい詰まっており、
祖先達の丁寧な暮らしぶりや
身近な自然への細やかな眼差しが
感じられます。
私達も「もんきりあそび」でつ くった形を
さまざまに組み合わせ、
季節の行事や贈り物など、
暮らしの様々なシーンで使ってみましょう。
伝統的とは、変わらない ものではなく、
使われながらその時代らしさが
付け加えられていくこと。
それが、「伝える」ということ。
今再び、暮らしの中で「日本の形」を
楽しみましょう。
日本の四季折々の行事や暮らしをたのしむ紋切りのアイデアも、季節に合わせてご紹介しております。どうぞご覧ください。