◉旧暦カフェ 「やってみる」自習シリーズ
旧暦カフェ常連の岸さんからは2回に渡り、レポートいただきました。
(1) 節分のおまじない
豆まきや年齢に一つ足した数の豆を食べるなどは、たぶん皆さんと同じだと思います。
ただ「柊鰯」は、ちょっと違うようで…。私が小学生の頃、確かに柊に鰯?を付けたものを見たように思ったのですが、中学生の時に父方の祖父母と暮らしていた時、祖母が作っていたのは柊ではなく、長い刺のついた枝にサンマの頭を付けたものでした。
柊じゃないので驚いて、祖母に植物の名前をきくと「鬼の目突きじゃ」とのこと。
母屋の勝手口の木戸に付けていて、うっかりすると鬼じゃなくてもほんとに目を突かれそうで怖かった!
しかもサンマ!記憶違いかと思っていたら、記事を見つけました。
どうやら「アリドオシ」という植物みたいです。
アリドオシ:庭木図鑑植木ペディア
こんなのもありました。
節分 鬼の目突(おにのめつき)入荷しました。:
新宮中央青果株式会社
(3)立春・節分の頃の行事について
思い浮かぶのは、「どんど焼き」と「厄払い」です。
どちらもよく知らないのですが、しめ飾りやお札を焼く「どんど焼き」と厄年の人が豆まきや餅ほりをする「厄払い」があって忙しいイメージがあります。(笑)
速玉大社のどんど焼き
私の19歳の厄払いは、裃つけて豆まきをしました。
私は那智大社でだったと思うのですが、母は青岸渡寺だったと言い、よくわからないままです。覚えているのは、最前列だったので、豆まきの豆が後ろからいっぱい飛んできて私に当たり、なんか人の厄をもらったような…。苦笑
新宮はヒイラギでなくアリドオシなのですね。
やっぱり「痛い」植物!これをモリモリとスーパーでも売っているのがいいね。
アリドオシ、ヒイラギより痛そうです。もしかして新宮近辺の山ではヒイラギは少ない?
「痛い」だけでなく、燃やすと大きな音がする植物、匂いが強い植物が節分に使われるみたいですね。
ヒイラギ、カヤ、スギ、ツバキ、イヌツゲ、シロダモ、シキミ、イヌマキ、ヒサカキ、コガネヒバ、アセビ、トベラタケ、イタドリ、、、
これは、日常的にかまどや囲炉裏で火を扱っていたからこそ、わかることですね。
今の私たちはには、すぐピンときませんね。
試しにいろんな葉っぱを薪ストーブで焼いてみる実験をそいたことがあるのですが、
ほんと、トベラなんて丸い葉なのに、バチバチと大きな音でした。
魔除けに「火」の存在は欠かせませんね。
豆も炒る時の音が肝心なのかも。やってみました。笑。
魔除けのおまじないに!
続けて今日の節分のささやかな報告です。
昨日、図書館がある神内(こうのうち)地区の放送で、明日の節分の日に神内神社でどんど焼きがあり、来た人に鬼の目突きをわたすことを知りました。
わぁ!鬼の目突き!ということで、今日の昼休みに神内神社へ行ってみました。
神社の前の広場では、たぶんお世話役のおじさま達が火にあたっており、図書館から来たことと鬼の目突きの写真を撮らせてほしいとお願いしたところ、一つわけてくださいました。
それは前回、報告しましたアリドオシの鬼の目突きだったのですが、魚は煮干し?で別の違う植物が絡ませてあり、その名前を聞くと「こけ」と呼んでいるとのこと。鬼を縛る意味があり、隣の小畑地区へ取りにいくそうです。
また、この鬼の目突きは雷が鳴るまでつけておくそう!こんなのは初めて見たので、知り合いの地元の新聞記者のお兄さんにお伝えしたら、すでに昨年取材したとのこと。その新聞は、今ちょうど業者に委託して製本中、記事を確認することはできないのですが、新聞記者さんも他に見たことなく大変珍しいと言っていました。記者さんの取材では、春の嵐の頃までつけておくそう!
えらいこっちゃ!いただいた鬼の目突き、図書館の玄関に飾ったのですが…当分はずせないです…。笑
自習スクープありがとう!
大興奮です。
節分に「火を焚く」というのも、本来の姿だと思うのです。
ヤイカガシだって「焼き嗅がし」のことだし、
豆を炒ったり、葉っぱ燃して大きな音立てたり、どれも「火」の名残りだと思います。
火の浄化の力で祓うというのが、大元の考えだったのだと。
そして、アリドオシと一緒に飾られている「こけ」はヒカゲノカズラという植物です。
シダなのにコケみたいな姿で、ちょっと面白いなあと以前から思っていました。
試しにウィキペディアで調べると、これがなかなか由緒と言おうか、力のある植物らしい。
いやあ、紀州にはまだまだ歴史の古層に属する風俗が生きているんですね。
ゆっくり聞き書きがしてみたいです。
以下、ウイキペデイア引用します。
この植物や似たものを祭事に用いる例がある。一説によれば、天岩戸の前でアメノウズメが踊った際に、この植物を素肌にまとったとも云われる。『古事記』には「天香山の日影蔓を手襁に懸け」とあり、この日影蔓がヒカゲノカズラであるというのである。『万葉集』にもヒカゲカズラの名が見える。
また『紫式部日記』などでも言及されていると考えられる。『紫式部日記傍注』では『類聚雑要抄』、『日本書紀神代巻』、『延喜式』、『和名抄』の中から日蔭蔓のものと考えられる記述をあげている[3]。
京都の伏見稲荷大社の大山祭[4]では、参拝者にお神酒とヒカゲノカズラが授与される。同じく京都の賀茂別雷神社では、正月最初の卯の日に、ヒカゲノカズラを中心に用いた卯杖を社頭に飾り、祈願した卯杖は宮中に献上される[5][6]。また、奈良の率川神社では、ヒカゲカズラを頭に飾った舞姫が踊る「五節の舞」がある[7]。
大嘗祭や新嘗祭にもかつてはこれが用いられたと言う。2019年11月、大嘗宮の儀で、衛門(衛士)は、冠にヒゲノカズラをかざり、また天皇が通る雨儀御廊下は天井からヒカゲノカズラが吊り下げられていた[8]。
wikipedia : ヒカゲノカズラより
素晴らしい自習報告ありがとう!
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