「コト八日のメヒトツコゾウ」の謎

かつて、旧暦の12月8日と2月8日は「コトの日」と呼ばれ、この日に行われる様々な風習がありました。その中でも不思議なのは、目籠を竿の先に吊るして軒先に立てるというものです。なぜそうするのか?それは、この日は「メヒトツコゾウ」とか「ミカエリバアサン」などと呼ばれる妖怪がやってくるけれどそれを避けるためだといわれています。目籠には多くの「目」があるから、妖怪はそれをみて恐れて逃げ帰るのだといいます。古来「目」は悪鬼を睨んで避ける魔除けの効果があるとして、目玉文様である「蛇の目」や、籠の目、縫い目などにもその力はあると考えられてきました。
これ以外にもこの日に針供養をしたり、仕事を休んで団子や豆腐、餅や特別な食べ物を作ってを食べる風習があったり、子どもたちがサザエの殻を引っ張って歩いたり不思議な風習が数多く報告されています。

比較的広い地域で行われてきたこの風習も今では実際に行っているところは少なくなってしまいました。そして、この行事の意味もよくわからなくなってしまっています。しかし、12月〜2月のこの時期は1年のうちでも最も日が短く太陽の力が弱まる季節。この季節に何か「悪いもの」が忍び込むことを防ぎ、太陽の力が再生することを願う。そんな意味があるのかもしれません。ところでなぜ、8日なのでしょう?昔の暦は月の満ち欠けに沿って作られており、日取りは月齢にほぼ一致しています。8日はちょうど半月。それを目印にして行事も行われていました。かつては、月の満ち欠けを見ながら日々の暮らしは営まれていたのですね。

私たちの先祖は続けていきた年中行事や風習には謎がいっぱい。なぜメヒトツコゾウ?そういえば針も一つ目だなあ。ミカエリバアサンとは?それって、どこから伝わって広まったの?などなど。様々な地域に伝わる風習や言葉に耳を澄ませながら、そんな謎についてあれこれ思い巡らしてみるのも楽しいことです。そして、このような年中行事や風習には単に古い迷信と片付けられない先人の知恵が潜んでいる気がするのです。

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カテゴリー: お知らせ   作成者: エクスプランテ パーマリンク

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